開催情報
【作家】Youry BILAK ユーリー・ビラク
【期間】2022年4月8日(金)~5月6日(金)
【開館時間】10:00-20:00 ※最終日のみ17:00まで
【休館日等】土曜・日曜・祝日 ※5月3日~5月5日のみ 10:00~17:30特別開館
【料金】無料
【キュレーター】上村優 (Art agent kaïchi)
【主催】KG+
【協賛】ワコールスタディホール京都
【後援】在日ウクライナ大使館
https://www.wacoal.jp/studyhall/gallery/event/article156861
会場
会場名:ワコールスタディホール京都 ギャラリー
webサイト:https://www.wacoal.jp/studyhall/
アクセス: 京都市南区西九条北ノ内町6 ワコール新京都ビル1、2階
電話番号:075-556-0236
概要
ユーリー・ビラクはスロバキア、ポーランド、ウクライナ、ルーマニアと、更にチェコ、ハンガリー、セルビアにまたがる全長約1500kmのカルパチア山脈の山間にあるウクライナのフツル民族の村で、6年間に渡って取材を行いました。都市生活から断絶されたこの地域では、百数十年に及んで受け継がれた伝統が存在し、ユーリーはその地域に根付く文化に魅了されました。
ユーリーは「衣装や刺繍の豊かさを写真に収め、この村に住むフツル人の、世代を越えて生活に根付いていた風習の痕跡を記録したかった」と語っています。
本シリーズ”Timeless Hutsuls”は一点もののポラロイド写真を、もう着用できない古い民族衣装の麻の繊維から生成された紙に、古典的な写真印刷技術のゴム印画手法を使って転写するという、工芸的要素を用いた作品制作を行い、紙面には地元の刺繍職人によって施された、ウクライナの伝統的な刺繍を埋め込みました。
撮影後にその地がユーリーの曽祖父が生まれた土地であったことが発覚し、このシリーズの制作は思いがけず、作家本人にも時代を超えた贈り物となりました。
“Timeless Hutsuls”は、民族衣装史のアーカイブであると同時に、ユーリー・ビラク本人の個人史としても存在し不朽のものとして紡がれていきます。
ユーリーは、不確かな未来に対して人々が抱く希望と恐怖の狭間で確かに積み上げられてきた歴史が存在すること、そして自身が体験した覆われた歴史との思いがけない邂逅の証を作品を通して届けようとしています。
◆Youry BILAK|ユーリー・ビラク◆
1961年生まれ。フランス人、現在パリを拠点に活動。両親はウクライナ人であり第二次世界大戦時に移民したため、ウクライナの文化に親しみながら幼少期を過ごす。 1983年にウクライナに初めて渡り、現地の舞踊を中心とした文化に感銘を受ける。以降は、舞台での活動やワークショップを基軸に、パリのモガドール劇場をはじめ、ヨーロッパやNYで舞台役者、監督、劇場内での写真家として幅広く活動を行う。 2000年に入り、本格的に写真家としての活動に転向。2004年から2010年にかけては、ウクライナのフツル民族衣装や文化をまとめた「Timeless Hutsuls(タイムレス フツル)」シリーズや、2011年以降はウクライナの地下鉱山で働く労働者を撮影した「Miners du monde(世界の鉱夫)」シリーズを展開。
そして、2014年にウクライナで起こったマイダン革命をきっかけに、現在まで続くロシア-ウクライナ間問題にも焦点をおき、戦争に携わる兵士、ボランティア、医者、そしてそのすぐ傍に存在する市民の日常生活を撮り続けている。
<ユーリー・ビラク「ウクライナ フツルの民族衣装」展に際し>
グローバル化する世界の中で、ひとりの作家がある地域に脈々と根ざす伝統的な衣装や暮らしといった文化に強い興味を持ち、6年におよぶ撮影を行う。後にその場所は自身のルーツ(曾祖父の出生地)であることを知る。
自身が魅了され記録として残したいと思った文化アーカイブが実は自身のルーツでもあったという物語は、普遍性と個人の独自性に関わる話しとして、新たな意味と魅力を持ちました。地域、個人、文化のもつ意味を、美しい民族衣装を着た美しい表情のポートレートが私たちに語りかけます。
私たちワコールスタディホール京都がこの展示の開催を決めた時、ウクライナを取り巻く社会的な緊張は既にそこに在りましたが、まだ現在のような戦中状況にはありませんでした。この展示そのものが、ある種の「政治色」や「特定の国や社会に対する思想」としての意味を持つことを好みません。 しかし、このような状況にある世界で暮らす一人として、この展示に触れた方々が平和の在りようについて、それぞれ思いをはせる機会になればと思います。
2022年4月8日 ワコールスタディホール京都