開催情報
【期間】2016年3月28(月)19時〜2時間程度の予定です。
【料金】無料
会場
会場名:つくるビル
webサイト:http://www.tukuru.me/
アクセス:〒600-8108 京都市下京区五条通新町西入西錺屋町25
電話番号:075-201-9631
開館時間:12:00 – 19:00 (最終日のみ18時まで)
休館日等:-
概要
つくるビルゼミ最終講義
失われた場を求めて
さあきみ、ありのままに考えてごらん、かつてご自分で私にある理論を述べられたじゃないですか。事物は絶えず繰り返される創造によってのみ存在する、とね。世界の創造も、一度かぎりのものではない、それは必然的に毎日行なわれているのだ、とあなたは言われた。
マルセル・プルースト『失われた時を求めて12 第七篇 見出された時Ⅰ』鈴木道彦訳、集英社(集英社文庫ヘリテージシリーズ)、2007、220頁。
あらゆる授業には終わりがありますが、つくるビルゼミは2015年3月をもって最終回となります。最終講義となる今回は、「場」について考えてみたいと思います。
「場」には、物理的な「場」と精神的な「場」の2つがあるでしょう。ひとつは、建築です。家屋や学校、会社、カフェやレストランなどの飲食店、映画館や美術館、ギャラリーなどさまざまな建物が作られ、あるいは取り壊されて、街は変化してきました。つくるビルも築60年の古ビルをリノベーションした建物でした。その変化は私たちの行動や心のあり方にも変容を及ぼしていることでしょう。
一方、もうひとつの「場」は精神的な「場」です。仕事の組織、団体、組合であり、家庭や地域(コミュニティ)の人間関係、サークル、チーム、バンドなどです。春ともなれば、入学・卒業、入社・退職、転職、引越など、人々や地域の関係性に新たな出会いと別れがあるでしょう。
これら2つの「場」は別々のものではなく、1つの「場」でもあります。2011年3月11日の東日本大震災では多くの「場所」が失われましたが、同時に人々の精神的な「場」も失われました。人が生きるとは、場を生きることであり、場をつくることなのかもしれません。
そこで、今月のつくるビルゼミでは、参加者のみなさんにかつてあった(過ごした)「場(所)」、今は失われた「場(所)」を教えて頂きたいと思います。それらの「場」が私たちや都市に残したものとは何だったのでしょうか。そして、つくるビルゼミという「場」は、どんな場だったのでしょうか。
それは、ある冬の日に主人公が紅茶に浸したプチット・マドレーヌの味をきっかけに、幼少期の記憶を思い起こすマルセル・プルーストの長編小説『失われた時を求めて』のように、場所の記憶をめぐる物語=歴史を振り返る時間となるでしょう。今となっては想像でしかたどり着けない失われた「場」を求めて。マドレーヌをご用意して403号室にてお待ちしております。
参加要項
・かつてあった(過ごした)「場(所)」、いまは失われた「場(所)」を教えてください。
地域、年代は自由です。可能であれば、写真や地図などその場所がわかる資料をお持ちください。
例)引っ越したかつての(実)家。通勤・通学でよく目にした建物、閉店した本屋、映画館、ギャラリー。喫煙所。レンタルビデオ店。かつて住んでいたアパート。学校や教室、塾、ワークショップやイベントの会場など。