開催情報
【作家】⻘木 千絵
【期間】2021 年 11 月 13 日(土)- 12 月 18 日(土)
【開館時間】10:00 – 18:00
【休館日等】日・月休廊
【料金】無料
http://gallery-sokyo.jp/exhibitions/exhibitions-4664/
会場
会場名:現代美術 艸居
webサイト:http://gallery-sokyo.jp
アクセス: 京都市東山区古門前通大和大路東入ル元町 381-2
電話番号:Tel: 075-746-4456
概要
現代美術 艸居では「⻘木千絵 融体化する身体」を開催致します。⻘木は大学時代に漆と出会い、 その不思議な質感を持つ艶に魅了され、漆での創作活動を始めました。「漆を用いることで、自分の 中にある得体の知れない“何か”を表現できるのではないか」と、漆のミステリアスな漆黑を普遍的な 身体と融合させることにより、孤独や葛藤という人間の内面に渦巻く複雑な感情世界を表現してき ました。具象と抽象が組み合わされ、漆の奥深い艶が特徴的な作品は、人間表現の追求という⻘木の 創作姿勢を明示してくれます。艸居での二度目の個展となる今展では、新作の漆作品 4 点と新作ドロ ーイングを展示いたします。
⻘木が、今回展示される BODY シリーズの制作を始めて 17 年が経ちます。人間の内面世界を表現 するために、具象である身体と抽象の塊を融合させた独自のスタイルは、漆という工芸材料を用いな がらも、コンテンポラリーアートとしての意味合いを強く有しています。⻘木は自らの初期作品を表 すのに当たり、他者からの遮断というキーワードを用いています。それは何層にも重なり強固になる 漆のシェルターに守られた人の姿であり、鏡面のような漆の表面が周囲を跳ね返すバリアのようだ ったと振り返ります。また、その姿は何処か物哀しいポーズで、社会の中で感じる違和感から自分を 守ろうとしているようでもありました。
それが近年では、上半身の姿が現れだし抽象部分と融体化するようになってきました。また、周り を遮断するかのようだった初期作品とは異なり、周囲を吸収しながら鑑賞者と一体感を得るような 存在へと変わり始めました。今展で展示される最新作「BODY 21-1」は、宇宙や生命といった大きな 存在と自身が融合していくイメージで、身体を小さく丸め、深海に潜り込んでいく感覚を表現した作 品です。漆黑の深い艶と乾漆技法(麻布や和紙を漆で貼り重ねて形作る方法)特有の穏やかな丸みを 活かすため、足と塊の起伏のつながりが美しく見えるよう意識したことで、より身体の融体化が印象 的な作品となっています。
宇宙や自然と比べた時の人間という存在の小ささ、しかし一方で複雑な精神世界を有し、尊くも儚 い存在である人間。大きな変化の中で多様化がますます進む現代社会において、自分自身を見失いそ うになりながらも自分の心と向き合って生きていく姿を、漆という美しく堅牢な素材を用いて表現 しています。融体化という⻘木作品における新たな展開と、乾漆ならではの優しく奥深い魅力をこの 機会に是非ご高覧いただけますと幸いです。
⻘木千絵(あおき・ちえ)
1981年岐阜県生まれ。
2010年金沢美術工芸大学大学院 博士後期課程 美術工芸研究科 工芸研究 領域 漆・木工コースを修了(芸術博士号取得・学⻑賞)。
現在は金沢美術工芸大学工芸科講師 を務めつつ、石川県野々市市にて制作を行う。
主な個展は2011年「URUSHI BODY」INAXギャラリー2(東京)、2017年「美術の中のかたちー 手で見る造形 ⻘木千絵展 漆黑の身体」兵庫県立美術館(神戶・兵庫)、2018年「孤独の身体」 現代美術 艸居(京都)などがある。主なグループ展には2014年「ヒトのカタチ、彫刻」静岡市 美術館(静岡)、2016年「HUBEI INTERNATIONAL TRIENNALE OF LACQUER ART 2016」湖北美 術館(武漢・中国)(同2019年)、「蜘蛛の糸」豊田市美術館(豊田・愛知)、2017年「Hard Bodies: Contemporary Japanese Lacquer Sculpture」ミネアポリス美術館(ミネアポリス・ミネソ タ・アメリカ)、2019年「第4回金沢・世界工芸トリエンナーレ」金沢21世紀美術館(金沢・石 川)、「Design Miami 2019」Miami Beach Convention Center (マイアミ・フロリダ・アメリカ) など他多数。 受賞歴には2005年日本漆工奨学賞、2019年金沢・世界工芸コンペティション優秀賞があり、コ レクションには金沢美術工芸大学(金沢)、ミネアポリス美術館(ミネアポリス・ミネソタ・ア メリカ)、湖北美術館(武漢・中国)、徳島県立近代美術館(徳島)、モリカミ美術館 (マイア ミ・フロリダ・アメリカ)、伊順芸術空間 (藩陽・中国)、イセ文化基金(富山)がある。 現在、金沢21世紀美術館(金沢・石川)にて開催中の特別展「フェミニズムズ/FEMINISMS」 に出展しているほか、2022年には十和田市現代美術館(十和田・⻘森)のArtsTowada 十周年記 念「インター+プレイ」展に出展が予定されている。