守屋 友樹:シシが山から下りてくる

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S_08_moriyayuki

開催情報

【作家】守屋 友樹
【期間】2018年5月4日(金)〜5月20日(日)
【開館時間】11:00~19:00(金曜日のみ20:00まで)
【休館日等】月曜
【料金】無料

http://www.galleryparc.com/exhibition/exhibition_2018/2018_05_04_moriya.html

会場

会場名:Gallery PARC
webサイト:http://www.galleryparc.com/
アクセス:〒604-8165 京都府 京都市 中京区 烏帽子屋町 502 2F〜4F
電話番号:075-231-0706
開館時間:11:00~19:00(金曜日のみ20:00まで)
休館日等:月曜日休み

概要

Gallery PARC[グランマーブル ギャラリー・パルク]では、2018年5月4日(金)から5月20日(日)まで、守屋友樹による個展「シシが山から下りてくる:It come down from the mountain」展を開催いたします。

 2010年に日本大学芸術学部写真学科古典技法コース卒業、2012年に京都造形芸術大学大学院修士課程芸術表現研究科芸術表現コースを修了した守屋友樹(もりや・ゆうき/1987年・北海道生まれ)は、2017年「still untitled & a women S」(KYOTO ART HOSTEL kumagusuku・京都)、2015年「消えた山、現れた石_ gone the mountain/turn up the stone」(Gallery PARC・京都)などの個展に加え、多くのグループ展などによる写真・インスタレーション作品の発表。また京都を拠点に活動する演出家・和田ながら(したため)とのパフォーマンスユニット「守屋友樹と和田ながら」公演として、2016年の『石|溶けちゃってテレポート、固まってディレイ』(アトリエ劇研・京都)をはじめ、2017年の亀山トリエンナーレで『山と海に貼り付けた』(三重)、2018年のSICF19での『石|溶けちゃってテレポート、固まってディレイ』(青山スパイラル・東京)に参加するなど、写真表現を中心に積極的に活動の幅を広げています。

 2017年の個展「Still Untitled / A Woman S」では、予測や研究がなされながらも、未だ噴火には至らない活火山でのフィールドワークの記録とともに、SNS上で見つけた知人のつぶやきを約一年に渡って追いかけた記録と、実際の本人とのやりとりを重ね合わせて展開。また、「未来の途中の星座‐美術・工芸・デザインの新鋭9人展」(京都工芸繊維大学 ・京都)では、幼い頃に神戸で遭遇したイノシシの記憶を頼りに現地を取材し、現在でもイノシシが山から下りてくる場所を撮影した写真・映像で構成されました。これらは、近年の守屋のテーマである『写真における「サスペンス(未然の状態、無題の状態)』への考察を主眼に展開させられたもので、本展「シシが山から下りてくる:It come down from the mountain」は、この神戸・六甲山の麓に出没するイノシシを追ったプロジェクトをベースに、開発されて拓かれた土地を人為的自然として、「人間が主体ではない自然とは何か。それは、網目越しの彼方から突然現れるイノシシではないだろうか。」という仮説を起点に、イノシシの存在(不在)を通して「都市/自然/身体」の横断を試みるものです。

 山と住宅地の境目にある場所を取材した一枚の写真。これは「かつてイノシシが下りてきた場所」であり、「いま(撮影した時には)イノシシが(写って)いない場所」であり、また「いつかまたイノシシが下りてくるかもしれない場所」の写真と呼ぶことができます。しかし、この写真はそのものとしてそれらをなに一つ決定しない、未知・未然が維持された状態にあるとも言えます。私たちは常に未知を既知で、未然を已然でもって触れ、切り取ります。この一枚の写真は、時間・場所・歴史・経験・知識・記録・言葉など、「写真(に写るもの)の外」にいる鑑賞者との交わりによって生じる呼び名(視線)によって捉えられていると言えます。そうしていつしか無題の歌は題詠されたものとして読まれ、そこに受け取り可能な意味を固定化してしまいます。

 本展において守屋は写真を過去の既知・已然に固定化したものではなく、過去と現在と未来において未だ意味の固定されることのないひとつの塊りの状態でもあることを示そうとしていると言えます。そうして写真を「サスペンス」との緊張関係に置き直すことで、写真を見る・読む行為において、私たちの内に「わからないもの」を「わかるもの」にしようとするベクトルが常に働いていることを自覚させ、展示はその気づきを促す装置として起動し、鑑賞者に働きかけるのではないでしょうか。

* 本展は「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」のサテライトイベント『KG+』にSPECIAL EXHIBITIONとして参加しています。

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