米村優人:BAROM(あるいは幾つかの長い話)

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開催情報

【期間】2023年6月20日(火)~9月24日(日)
【開館時間】10:00~18:00
【休館日等】月曜日(祝日の場合は開館)
【料金】無料

https://kyotocity-kyocera.museum/exhibition/20230620-20230924

会場

会場名:京都市京セラ美術館 ザ・トライアングル
webサイト:https://kyotocity-kyocera.museum/
アクセス:〒606-8344 京都市左京区岡崎円勝寺町124
電話番号:075-771-4334

概要

米村優人は主に彫刻を用いたインスタレーション作品を制作する作家です。神話上の神々や昭和のヒーローなど「超人」たちへの憧れや畏怖を持ちながらも、その人体彫刻は手、足、頭部などがバラバラに展示されます。古典的な彫刻が本来持っている荘厳さや完全性は台なしとなり、崇高の念を雲散霧消させるように再構成する手法は作家の大きな特徴と言えます。
米村は、彫像を意味するギリシャ語のアガルマ(agalma/「像」)と英語のマン(man/「人」)を合わせた「アガルマン (agaruman)」シリーズなどを継続して制作してきました。これらは発泡スチロール等を素材とし、FRP塗布による「擬似ブロンズ」の制作工程を応用したものです。米村は、こうした作品を制作する上で弱さや失敗、不完全さに注意を向けてきました。それは多くの彫像が持つ、男性性を強調するような強さ、立派さ、崇高さの対極にあるものと言えます。

タイトルの「BAROM」は1970年代に放送された特撮ヒーローもののTV番組「超人バロム・1」からの引用で、二人の少年が合体して一人の正義の超人となる物語です。また、「幾つかの長い話」は、作品制作の過程や極めて個人的なストーリーと、ギリシャ、ローマ時代から現代に至る彫刻史を意味しています。そこには古典彫刻の「崇高なる美の具現」に対する、畏怖の念とある種の反発からくる愛憎半ばする作家の感情が込められているようです。
新作、旧作、および旧作の再構成などから成る本展は、現代的な感性によるキッチュさと作家の日常を織り交ぜながら、個人的なストーリーと彫刻史を往還する取り組みです。そこには、作家の真摯さと今日的なリアリティを見ることができるでしょう。

米村優人(よねむら・ゆうと)
Yonemura Yuto
美術家。1996年大阪府生まれ。京都市在住。2019年、京都造形芸術大学(現 京都芸術大学)美術工芸学科総合造形コース卒業。近年の展覧会等に、屋外彫刻《AGARUMANS (Best Friend)》(グランフロント大阪、2021年)、個展「BARORORM SQUAD 1人でも立ってられるって!」(NEUTRAL、京都、2022年)、個展「我(WE)」(COHJU contemporary art、京都、2022年)、小笠原周、熊谷卓哉との3人展「問題のシンボライズ −彫刻・身体・男性性−」(ホテル・アンテルーム京都、2022-2023年)、倉知朋之介との2人展「NSFS/止め処ないローレライ」(EUKARYOTE、東京、2023年)など。

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