彦坂敏昭:砂のはなし

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開催情報

【作家】彦坂敏昭
【期間】2022年5月31日(火)― 2022年9月25日(日)
【開館時間】10:00~18:00
【休館日等】月曜日 ※ 祝日の場合は開館
【料金】無料

https://kyotocity-kyocera.museum/exhibition/20220531-20220925

会場

会場名:京都市京セラ美術館 ザ・トライアングル
webサイト:https://kyotocity-kyocera.museum/
アクセス:〒606-8344 京都市左京区岡崎円勝寺町124
電話番号:075-771-4334

概要

彦坂敏昭は人と人、人と物とが時間や空間を共有するための仕掛けづくりに注力する作家です。他者と協働し、ゆっくりと徐々に「場」を構築していくなかで、自分とは決定的に異なる他者や事物の存在を、丁寧に確かめようとしています。
 
本展を構想するにあたり彦坂は、私たちの足元にある「砂」に着目しました。準備段階から同行者と共に「砂」に触れ、拾い、確かめながら、「砂」にまつわる感覚や想念を持ち帰りました。「砂」は日常的な物質でありながら、変幻自在で捉えどころがありません。こうして明確な答えを持たない「砂」についての無数の小さな「砂のはなし」が集積しました。
 
展示室では砂場が用意され、鑑賞者は実際に砂の手触りを確かめたり、砂の上を歩くことができます。そのほかにもギャラリーには「砂」にまつわる映像や小品が置かれ、人と人が集うための「場」がひらかれていきます。本展を訪れる一人ひとりがきっと小さな「砂のはなし」を持ち帰ることができるでしょう。

作家ステートメント
他者と共にいる口実を考える。そして、その口実を頼りに、他者と時間や空間を共有してみる。すると、他者や事物と呼応する関係性が少しずつ生まれ、その有機的な関係性のなかで、さまざまなインプットが生まれる。

私たちの社会をかたちづくる基本的な資材に砂がある。この身近な物質は、その状態のみが定義されている。だからそれぞれの粒子が鉱物の壊れた痕跡である必要はない。また、実際に川や海岸で砂を拾い上げ、まじまじと見つめたとしても、その砂の色味や表情は、私たちの記憶からするりとこぼれ落ちる。私たちが砂について知ろうとすればするほどに、その解像度は下がっていく。

そのような捉え難さを持つ砂だからこそ、他者と共に、おおらかな心持ちでその辺境を探索し、インプットを共に蓄えていくことができるのかもしれない。そういった意味で、砂は私たちの足元に広がるコモンズだと考えられるだろう。砂を資材としてではなく、人と人が共にいるための素材として扱う。まずは他者と共に歩き、砂を拾いに出かけてみることを口実にして。

彦坂敏昭(ひこさか・としあき)
Hicosaka Toshiaki
1983年愛知県生まれ。京都市在住。現在、京都市立芸術大学大学院美術研究科博士課程(彫刻領域)在籍中。2015年には、ポーラ美術振興財団在外研修員としてイギリスとアイスランドに滞在。近年の主な展覧会に「MAIX(Malaysia Artist’s Intension Experiment)報告展(TEMPAT BIBAH、クアラルンプール、2019年)、「To Look at the Fire」(Daiwa Foundation、ロンドン、2017年)がある。また、アーティストコレクティブ〈木曽路〉を鬣恒太郎と前谷開と共に運営。京都芸術大学こども芸術学科専任講師。

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