Theater SCOPE #01 アルゴス・コレクションの精髄:ベルギーの実験映画

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開催情報

【日時】2015年9月20日(日) 15:00~17:30 (アフタートーク込/逐次通訳あり)

【料金】1,000円

http://theaterscope.tumblr.com/post/128171983648/01
http://www.kac.or.jp/events/16810/

会場

 
会場名:京都芸術センター 講堂
webサイト:http://www.kac.or.jp/
アクセス:〒604-8156 京都市中京区室町通蛸薬師下ル山伏山町546-2
電話番号:075-213-1000
開館時間:10:00〜20:00
休館日等:
  

概要

 
【 イーヴェ・ステーヴェンヘイデンス / Ive Stevenheydensによる精選 】
ヨーロッパで活躍するキュレーター、イーヴェ・ステーヴェンヘイデンスのコーディネートにより、ベルギーの短編実験映画を紹介します。彼による作家と作品の選択は、意識的に折衷的であり、”アルゴス・センター・フォー・アート・アンド・メディア(ARGOS centre for art & media) ” の過去と現在を代表するものです。また今回の上映会には、上映後に「アフタートーク(日本語通訳あり)」の時間が設けられており、キュレーターへの質疑応答の機会もあります。
ベルギー・ブリュッセルにある”アルゴス・センター・フォー・アート・アンド・メディア”は、視聴覚メディアと視覚芸術を扱う、ベルギーで最も重要な現代美術の拠点です。創立以来 26年間で 4,500の映画とビデオを収集しており、その制作年代は45年間にわたっています。そしてその多くは単一チャンネルのデジタル映像です。このコレクションは、”アルゴス”の芸術的・象徴的資産をなすだけでなく、このセンターの活動にとって理論的基盤として重要な役割を担っています。
アーティストと人々の仲介役として、また出会いと対話と交流の場として、その活動は多様であり、展覧会、メディア・ライブラリー、映画・ビデオ上映会、講演、パフォーマンス、映画の国際的な配給、マルチメディアのインスタレーションなどにわたる。また、”アルゴス”では、最新の国際的ネットワークと協力しつつ、撮影そのものや、撮影後の作業の場を提供したり、特定のグループを対象とした教育プログラムが企画されています。
ベルギーのビデオ・アートは、前衛的で折衷的、複数の方法論を用いてクロスオーバー的であるという国際的な評価をすでに得ているだけでなく、その活用についても、長い間パイオニアであり続けているのです。

上映作品

 
・ある物体 / ジャック=ルイ・ニスト L’objet / Jacques-Louis Nyst  1974年 / 10分
金属製で青く小さいおもちゃのコーヒーポットが発見され、ある未来の考古学者にとって解けない謎となる。その学者は 20 世紀の文明について、もはや何の情報ももっていないのだ。彼は辛抱強く、その物体が何なのか、その意味を明らかにしようとする。彼の想像力は、物体の歴史的真実とはかけ離れていき、夢のような状態へとどんどん入っていくが、そこは優しさとはかなさだけが現実であるような世界である

・オーランドの本 / ウェンディー・モリス Orlando’s Book / Wendy Morris 2013年 / 3分
この映像は、「アグネスの物語」に出てくる本をめぐって展開する。アグネスの兄弟であるオーランドは、まだ少年であった 1860 年代半ばにその本を受け取った。英国の田舎を描いた胴版画と詩の本で、農家の生活をやや理想化して表したものだった。オーランドは、本の世界の牧歌的風景とは何ひとつ似ていない生活を送っていた。100 年後、私(モリス) が育った時代の南アフリカでもあまり変わっていなかった。子どものころ読んだ本は、英国で書かれ描かれ刷られたものばかり。つまり、子どもたちが最初に本で見知った記憶は、よその土地のことだけで成り立っているのだ。蓄積されている見たことのない場所の記憶と、生活の場で体験する現実との乖離-この作品で、私はそれを探りたいと思ったのだ。

・インク壺 / リュック・デルー, フィリップ・フランシス, デ・ニーウェ・コロリステン Inktpot / Luc Deleu, Filip Francis & De Nieuwe Coloristen 1971年 / 5分14秒
ベルギーの海岸町コクシードの砂丘にある第二次世界大戦時代の壕が、細部に集中して見ていくうちに巨大なインク壺に変わっていく。この早い時期のビデオ作品は、ユートピア建築家のリュック・デルー、画家フィリップ・フランシスとアーティスト集団デ・ニーウェ・コロリステン[新しい色彩画家たちという意味]のコラボレーションにより制作された。 彼らのパフォーマンスをタイムラプス(微速度)撮影した映像に、編集時に挿入されたアニメやブリュッセルの雪景色などが入り混じる。

・ヴァイオリン・フェイズ / エリック・パウエルズ Violin Fase / Eric Pauwels 1986年 / 11分44秒
ダンスとカメラの二つの動きが織りなすソロ。エリック・パウエルズは、アンヌ = テレサ・ドゥ・ケースマイケルの身体を取り巻くようにカメラを動かしている。ここに私たちが見るのは、幾何学的、ミニマリズム的な舞踊ではなく、一人の女性が取り憑かれたように、汗だくで体力の限界に挑んでいる姿である。ダンスとカメラの二つの動きが織りなすソロ。中断せずカメラを長回しした四本のテイク。パウエルズは、常にシネマの本質、シネマの魂を探り続けている。そこにあるカメラもまた、極限まで激しく動き、汗をかき、もがいているのは明らかだ。パウエルズは美しい画像を撮ることでなく、探求することに関心をもっている。

・プロット・ポイント / ニコラス・プロヴォスト Plot Point / Nicolas Provost 2007年 / 13分
タイトルからしてプロット(筋書き)もポイント(点、要点)も作品に含まないことを示唆する《プロット・ポイント》が示すのは、ニューヨークをはじめとする“コップ・ランド”たるアメリカの風景が、サイレンを鳴らすパトカー、制服、救急車や雑踏を撮るだけで、そのまま不安に満ちた場所を表現する格好の映画シーンになるということだ。この作品は、現実とフィクションの境界や、私たちの映像記憶を操る仕込み、伏線、余韻、テンション曲線、クライマックス、プロット・ポイント[筋書きが展開する契機になる事件など]といった映画のコードと物語の道具立てを問いなおしている。ナラティヴな映像言語は現実を完全に忘れさせ、刑事物のストーリーの入る場所をつくって、私たちの心を奪ってしまう。しかし、この作品では、現実の人間がそのままキャラクターとなり、現実の行動をとり、現実の人生を生きている。演出も指示も一切ない。すべてが隠しカメラで撮影されている。プロヴォストは、“ドキュメント” を“フィクション”に、“現実”を“物語”に翻訳している。 作品では、映像の進行とともに警察の力が重要性を増してくる。カメラは警官の顔や車、サイレンや制帽などの細部をクローズアップする。 物悲しい音楽が盛り上がることはあるが、頂点やクライマックスには至らない。映像の終わりに、何十台ものパトカーが次々と出動する。振り付けがされているかのように、パトカーのライトがリズミカルに点滅する。不穏だった音楽が、軽快で反復的な、ミニマルミュージック風シン セサイザー音に変わる。私たちは、いかに 21 世紀初頭のこの現実が映画 作品の準備になりえるのか、いかに私たちの日常生活が他者の視点-防犯カメラ、隠しカメラ、テレビや映画の観客-からは舞台セットのように見えるか、と自問するかもしれない。

・ステージング・サイレンス2 / ハンス・オプ・デ・ベーク staging silence 2 / Hans Op de Beeck 2013年 / 20分25秒
この作品は、オプ・デ・ベークの記憶に残っている抽象的で原型的な環境、彼が過ごしたことのあるありふれたパブリック・スペースなどに基づいている。映像は、ばかばかしくもあり真面目でもあって、折衷的な混合である私たちの脳内の映像のようだ。モノクロ映像に仕上げたことにより、曖昧さがより強調されている。舞台のようなアプローチは、フィルム・ノワールの内部に秘められたサスペンスや隠れた脱線を思わせると同時に、ドタバタ喜劇の影響も感じさせる。作品のタイトル《ステージング・サイレンス》は、使われていない家具や舞台装置を指し、人間が不在であることにより、観客は単独の登場人物に なったつもりで自分を投影することができる。記憶のイメージは、具体的な情報と想像がアンバランスに入り混じったものだが、この作品ではそのことを、物を動かす何者かの手によって、観客の目前で具体的に示している。腕と手がランダムに現れては消え、ありふれた小道具を動かし、スケール感と人工照明を操作することで、その場所を知らないようで知っているように感じさせる。これらの場所は、何らかの物語が始まるための動く装飾であり、観客を視覚的に誘う装置である。作品に流れている音楽は、イギリスのミュージシャン、 スキャナーがこのイメージに即して作曲した。

協 賛
公益財団法人フランダースセンター

協 力
ARGOS centre for art & media     
東山 アーティスツ・プレイスメント・サービス(HAPS)   
横浜市民ギャラリーあざみ野

後 援
京都市

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