ベアトリス・バルクー × 奥村雄樹:心中熊楠城 内覧会

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開催情報

【作家】ベアトリス・バルクー、奥村雄樹
【期間】2018年8月24日(金)~9月2日(日)
【時間】14:00~21:00
【料金】入場無料

http://kumagusuku.info/844

会場

会場名:KYOTO ART HOSTEL kumagusuku
webサイト:http://kumagusuku.info/
アクセス:〒604-8805 京都市中京区壬生馬場町37-3
電話番号:075-432-8168
開館時間:-
休館日等:-

概要

このたび、KYOTO ART HOSTEL kumagusukuの企画展第5弾として、私たちふたりの作品で構成される展覧会「ベアトリス・バルクー x 奥村雄樹:心中熊楠城」(しんぢゅうくまぐすのしろ)が開催されます。

私たちが初めて出会ったのは、2015年春のブリュッセルでした。その出会いに運命を感じたのは、世界中の他のどんなアーティストよりも、お互いの実践のうちに不思議な響き合いを見出したからです。何よりもまず、ふたりとも、それぞれ手法は異なるとはいえ、「作者」の位置づけをめぐる問いに基づいて、他のアーティストの作品や人生に何らかのメディエーション――媒介、介在、霊媒化――を施し、そのこと自体をみずからの仕事として提示してきたこと。それは一見すると作り手として自殺行為かもしれませんが、そこにこそ私たちの作者性は宿っているのです。さらにその際、決してその他者とコラボレーション――対等な立場による共作――をしてこなかったこと。私たちは、彼らと直に交わることなく、でも確かな敬愛に基づいて、その作品や人生に一方的に身を寄せてきたのです。でももしかしたら、そんな私たちふたりの間ならば、そうした分離を保ちつつ、なおかつ何らかの意味で「対等な」コラボレーションが成立するかもしれません。それにはどんな形がありえるでしょうか?

そんなことを考えながら2018年春の京都にやってきて、まず私たちが注目したのは、文楽の構造でした。そもそも私(ベアトリス)の振る舞いは「人形遣い」に似ています。とりわけ《無題のセレモニー》のシリーズにおいて。そこで私は、他のアーティストの作品を注意深くハンドリングすることで、少数の観客にそれを「鑑賞」してもらうための親密な状況を構築します。主人公はあくまでもその作品で、私はその背後に身を置き、実際には可視的でありながらも理念的には不在の身体として、それを操るのです。翻って、私(奥村)の語り口は「太夫」に似ています。とりわけ映像や音声やテキストを使った近年の各プロジェクトにおいて、私はさまざまなアーティストたちの声をひとりで代弁し、彼らの人生をこの体で生き直すからです。文楽の舞台において人形遣いと太夫(そして三味線弾き)は、各自の仕事をパラレルに進めることで、直に交わることなく互いをアシストし、同じひとつの物語を展開させます。ならば私たちふたりは、kumagusukuという舞台で「相補的な」アシスタンスを繰り広げながら、どんな物語を立ち上げるべきなのでしょうか?

私たちふたりは、こうした問いをめぐって対話を繰り返してきましたが、本展ではひとまずの実験として、互いに互いを媒介することにしました。それぞれの作品における「他者」という項目に「彼」でも「彼女」でもなく「あなた」を代入し、一方的な敬愛を相互に交差させるとき、その「相補」性を通じて、限りなく「対等」に近い関係が生まれるかもしれないから。そしてそこには自ずと、私たち自身の物語――「ふたりだけの世界」という不可能な夢が立ち上がるはずです。

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