開催情報
【作家】上田裕之(鍛冶) 小野陽介(陶芸) 勢司恵美(真竹細工) とりもと硝子店(ガラス) 濵端弘太(木工) 平野日奈子(陶芸) 吉田慎司(箒)
【期間】2018年4/28(土)-5/7(月)
【開館時間】11:00-18:00 最終日6/18(日)のみ17:00で終了
【休館日等】5/2(水)
【料金】無料
会場
会場名:手しごとの器・道具 テノナル工藝百職
webサイト:http://hyakushoku.petit.cc/
アクセス:〒606-8397 京都市左京区聖護院川原町11-18
電話番号:075-200-2731
開館時間:11:00〜18:00
休館日等:火・水曜定休(個展期間中などは水曜休)
概要
家庭の台所、という場所。
女性も男性も今では区別なく出入りし、
子どもと親が共に時を過ごすことも多く、
老若男女、それぞれが台所という場について、幾ばくかの記憶をたずさえているのではないでしょうか。
私自身がまっさきに思い出すのは、年末年始やお盆、
そのほか冠婚葬祭などの取込事の際に親族やら人々が大勢家に集まると、
台所もがぜんごたごたと忙しく賑々しくなる時のこと。
台所人員の女手が台所に集まると、各々適材適所に配置され、
東京っ子の我が母が持ち前の愛嬌で台所と男たちの集まる居間とを行き来し、
献身的な仲居のような役目に徹しておるかと思えば、
魚介類が登場すると「さあ来い」と言わんばかりに北海道生まれの伯母が、
立派なまな板を出してきて出刃をふるいながら、次々と見事にさばく。
茨城の農家の出の祖母はその場のすべてを取り仕切りながら、
野菜や乾物などを落ち着いた様子で煮炊きし、なおかつ傍で遊ぶ私たち子どもへの優しい目配りも欠かしませんでした。
また、季節ごとやごくごくふだんの日常での記憶もゆっくりと流れ出てきます。
本当は料理人になりたかったという父が作る、
早くてうまい炒飯の香ばしく立つごま油の薫りと、私には少し大きかった瀬戸物のレンゲ匙。
夏になって冷蔵庫を開ければ、
実の赤い大きな大きな西瓜が半割りになってやっと収まっているのを見てにんまり。
お中元やお歳暮の特別な時だけに並ぶ、
いろいろな種類のカルピスの包装紙の色がとてもきれいでわくわくしたり。
重なり合うきらめきに言いようもない高揚感とあこがれを覚えながら、
ただそっと眺めるだけだった、祖父母の家の食器棚の一角を占める美しい切子ガラスのコップ。
台所からはいつも、ささやかな日常や季節が紡ぎ出され断片的な記憶が幾重にも重なり、
懐かしい愛着が湧きたちます。
実用の台所道具から、少しノスタルジーを覚える道具やうつわまで、
手にするだけでうきうきしたり、気持ちよく台所仕事を手助けしてくれるものたちをとつくり手の皆さんにはお願いしました。
つくり手自身の作風が現れるのはもちろんのこと、
彼らの思い出めいたものが無意識に映し出されたような作品も、もしかしたらもしかして、並ぶかもしれないですね。
晩春から初夏へ、風のざわめきや匂い、陽射しも、どこかきらきらと移り変わり、
若葉の緑色があたりへと滲み出す季節。
爽やかで清清しい暮らしの空気を皆さまへお届けできるよう支度して、心よりお待ちしています。