黒田冨紀子 ~卒寿を迎えて~

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開催情報

【出展作家】黒田 冨紀子
【期間】2022年5月17日(火) ~ 5月22日(日)
【開館時間】12:00-19:00 (最終日のみ17:00まで)
【休館日等】月曜日
【料金】無料

会場

会場名:ギャラリーヒルゲート 1F・2F
webサイト:http://www.hillgate.jp/
アクセス: 〒604-8081 京都市中京区寺町通三条上ル天性寺前町535
電話番号:075-252-1161

概要

黒田 冨紀子 Fukiko KURODA
1931 神戸市に生まれる
1954 京都市立美術大学西洋画科 卒業
        〃        専攻科入学
1955      〃        専攻科中退
1955〜1959   〃         研究室助手勤務
1958 京都朝日新人展 出品
1961 京展 (京都市美術館)中部日本新聞社賞受賞(’63紫賞)
1985 関西二紀展 会員賞 受賞(’88,’92,’94,’95,2012)
1986 講演 「ボテロと私」(大阪大丸ミュージアムサロン)
1988 第42回二紀展 会員賞 受賞
    美術選抜展 (’89,’90,’91)
    日仏現代美術展
1991 第45回二紀展 女流画家奨励佐伯賞 受賞
1994 第48回二紀展 鍋井賞 受賞
2012 第66回関西二紀展 成井賞
2014 京展審査員(’15)
2021 黒田真里・黒田冨紀子
    -真里・冨紀子が描く食卓から花も景色も-
   (あべのハルカス近鉄本店 アートギャラリー/大阪)
他、個展、グループ展多数

現在 二紀会委員、日本美術家連盟会員、紅梅アトリエ

パブリックコレクション
 京都府立ゼミナールハウス 「驟雨」
 聖ヨゼフ医療福祉センター 「POISSON」「遠い道」
 神戸アイセンター 「いろいろな世界」「海辺の日曜日」
 京都オアシスリハ 「ネムの咲く頃」「十二支と子ら」
 堺市文化観光局文化部 「Waiting for the moon」

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黒田冨紀子の作品世界について  尾﨑眞人(前京都市美術館学芸課長)
京都市美術館の友の会として、先生のアトリエに伺い、学生時代の作品を見せてもらったのは十二年前であった。黒田冨紀子さんは義父黒田重太郎さんの画室で作品を描いていた。
黒田冨紀子さんの描く世界は、自らを取り巻く世界を、いとおしく描いている作品が多い。
私が見た黒田冨紀子さんの作品世界は、三つに分かれる。第一期と考えられる1980年代に描かれたのは、親子像であろうか、毛糸の戻しを描いた「つながり」は、毛糸でつながれた親子だけではなく、右手で引かれて動く毛糸と壁にしつらえられた窓との、空間の広さが感じられて心地よい。
そして「賑やかな食卓」(1992年)が描かれた第二期の時代は、家族食卓を描いた一族集合像である。そこでは、描かれた全員が、ワインを飲んでいる。名前のわからぬ黒猫にも一匹魚が与えられている。以後、彼女の作品には、必ずこの黒猫が、登場してくる。窓の外をのぞくと、オレンジ色のシトロエンと思われる車が、見える。一家はこの車で、この食卓まで来たのであろう。
赤いシトロエンは「湖畔の日曜日」(2000年)などで描かれる。左ハンドルの運転席には、必ずサングラスをかけた女性の運転手と、その隣には眼鏡をかけた男性が描かれている。そして数名女の子が後部座席に描かれる作品が多い。黒田家の日常ではなかろうか。
そして現在までつづく第三期になると、家族の思いでが、時空間の多層性画面の中で描かれてくる。その多くの作品には作者と思われる母親像と、金太郎の腹かけを着用している赤ん坊像や子供像を中心とした人物像である。いくつもの思い出を一つの場面へと昇華することで作品が出来上がっている。今日描かれる作品は、過去と今日、そして明日をも捉えた作品である。黒田冨紀子さんの人生をさらけ出した作品たちが、どのような意味を見る人にもたらすのか、楽しみである。

黒田冨紀子先生の個展は、当画廊では2009年以来4度目となります。2012年からは夫、黒田暢先生との二人展や、三人の娘さんを加えた5人展等も4度開催しました。その間に、暢先生が亡くなり、三女の三紀さんが交通事故死なさるなどの御不幸がありましたが、その都度冨紀子先生は涙にくれながらも更に明るく、暖かい作品を描きつづけて下さいました。
焼け跡の神戸から京都美大に通い、様々な困難を乗り越えて制作しつづけてこられた作家の強さが、そのユーモア溢れる画面から見る者の心に伝わる気がします。
卒寿を迎えられた女性作家の軌跡をどうぞ御高覧下さいませ。 

ギャラリーヒルゲート

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