からみあうもの きざまれたとき 山添 潤 石彫─ 2022

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開催情報

【作家】山添 潤
【期間】2022年 11月5日[土] ─ 20日[日]
【開館時間】13:00~19:00
【休館日等】水・木曜日
【料金】入場無料

会場

会場名:ギャラリー・パルク 
webサイト:https://www.galleryparc.com/index.html
アクセス:〒602-8242 京都府京都市上京区皀莢町287 堀川新文化ビルヂング 2階

概要

Statement
地球の断片である石を手で彫る
ゆっくりとゆっくりと彫り刻む
おそろしく単調な行為を繰り返す
石は刻々とその姿を変えながら
私のノミ跡で覆われてゆく
彫る(減らす)というよりは 自分の力 流れてゆく時間などを
石の表面に押しつける(増やす)ような意識で刻みつけながら
石を塊化させてゆく
その時 石に寄りかかり過ぎても 自分を押しつけ過ぎても
うまくはゆかない
石との長いやりとりの中 手さぐりで終着点をさがす

そのようにしてゆっくりとゆっくりと私の彫刻は生まれるのです

山添 潤

About
Gallery PARC[グランマーブル ギャラリー・パルク]では、石彫家・山添潤の個展を京都市内のギャラリー・パルクと、京都府南丹市八木町のオーエヤマ・アートサイトの2会場で同時期開催いたします。

京都市内の高校を卒業後、関東に渡って私塾にて彫刻を学び、2000年代はじめより本格的に彫刻に取り組む山添 潤(やまぞえ・じゅん/京都生まれ・1971~)は、以後、関東・関西での発表を続けています。なかでも茨城県筑波山麓にてほぼ隔年で開催されている野外彫刻展「雨引の里と彫刻」にも2001年より参加し、現在までの山添のライフワークのひとつとなっています。

大きな石の塊を前に山添は『よくは分からないけど、でも確かにそこにカタチがある』といった予感を頼りに、目指す完成系や具体的なフォルムを決めず、ノミやタガネによって石を刻んでいきます。それは石と山添との対話ともとれますが、同時に肉体による単純な行為をひたすら繰り返すその過程は、自身の予感への自問自答であるといえます。

自らへの問いをコツコツと石にぶつけ、小さく返ってくる石からの応答に呼応してまた打つ。そうして現れた抽象とも具象とも呼べないカタチは、石と山添が互いを媒介にして発した不定形な聲のようでもあり、山添の身体と思考の狭間にカタチを与えたかのようでもあります。

こうして山添は、いつも不確かであやふやな予感を頼りに、それを知るためにこそ、およそ20年に渡って石との対話を続けてきたといえます。そうしてカタチを結んだ多くの作品には、その「対話のアプローチ」に多くの変遷がみられます。コンセプトをもって石にカタチを与えたもの、場に対してサイトスペシフィックな視点を強く持つもの、石からの声に耳を澄ませ、その声を引き出したかのようなもの、あるいは「彫刻」という行為への自問を探すためのもの。山添は、これまでに都度の興味・疑問をもって、石との接触に様々な試みを用いてきました。

本企画は、現在まで続く山添と石との接触が主題となった2004年の発表作品から2022年に制作した作品を、ギャラリー・パルクとオーエヤマ・アートサイトという異なる時間(歴史)を持つ会場に展開するものです。これは都度の疑問と確認の積層である山添の仕事を、およそ20年という連続性の中で検証する機会であるとともに、開館より1周年を迎えた堀川新文化ビルヂング内の「ギャラリー・パルク」と、築400年を超える「八木酒造」という、異なる時空を持った空間に、石の声を響かせてみる試みです。

山添にとって、これまでの行為を確かめることとなるこの機会はまた、鑑賞者にとっても山添の現在とこれまでの作品を鑑賞する中で、その問いと思考が「ここから先へ」どのように進むのか、その予感を感じとることができる機会となるのではないでしょうか。

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