開催情報
【作家】吉原英里
【期間】2018年6月19日(火) – 7月1日(日)
【開館時間】12:00~19:00/日曜日は17:00まで
【休館日等】月曜日
【料金】無料
https://gallerymorningkyoto.blogspot.com/2018/06/yoshihara-eri-90-619-71-2018.html
会場
会場名:ギャラリーモーニング
webサイト:http://gallerymorningkyoto.com/
アクセス:〒605-0034 京都市東山区三条通白川橋東入四丁目中之町207番地
(三条通り岡崎広道西南角)
電話番号:075-771-1213
開館時間:12:00~19:00/日曜日は17:00まで
休館日等:月曜日
概要
吉原英里展によせて
最初に見たときから目が離せなくなった。いつのことだっただろう。おそらく1993年くらいだったと思われる。ということは、もう25年も彼女の作品を見つづけてきたことになる。何がそんなにぼくを魅きつけてきたのだろうか。そもそもぼくは展覧会がキライでめったに行かないのだが、不思議に彼女の作品とは縁があるように思っている。ギャラリーで彼女の姿を見つけるといつもホッとした気分になった。絵を描くための技術のことはあまりよくわからないが、かなり熟練の技だとわかる。 彼女は直接人を描くことがない。その気配だけを表現しようとする。室内の静物や椅子、ソファ、クッション、帽子やマフラーなど、それらは直前までそこにいた人の気配を残している。もちろん絵はそこにあるものだけを描くのではない。むしろ、不在のものを描くためにある。
ぼくの専門の宗教人類学でも、神はただ気配として存在しているのであって、それはわれわれの目にはっきりとは映らない。もともと存在と非在の合間にすべての物事はある。伊勢神宮の内宮本殿には正面に一枚の絹がかけられている。それが風にそよぐたびに中の庭や建物がほんのかすかに見える。そういう仕掛けがあってはじめて神との出会いを感得することができるのだろう。
おそらくそれは人間についてもある程度同じことが言えるのではないか。人はそこにいるから実在しているというわけではない。いないことによってさらに強くその人が印象づけられることだってある。その人が毎日そこで原稿を書いていた書斎とか、食事をしていたテーブルとか、散歩していた庭だとかにも、その人の姿を見ることはできる。
彼女の作品で好きなのは、繊細な銅版画(エッチング)をもとにして、ドローイングや実物の傘などがおかれたインスタレーションといった感じの作品群だ。なんとも言えない独特の雰囲気があって、みごとに繊細で美しい。彼女の80年代の作品に「M氏の部屋」と題された作品がある。このM氏とはいったい誰なのだろう。しかも、帽子も傘もソファも、夢のなかでのように引力から自由で宙づりになっている。90年代の作品には「FRIDAY」と名づけられた作品がある。こちらでは椅子や花束や帽子はさらに現実から乖離したものとなっている。これは彼女だけに可能な世界だと実感させられる。虚実ないまぜの傘は、いったい、いつ誰が取りに戻ってくるのだろうか。
植島啓司(京都造形芸術大学教授)
吉原英里経歴
1959 大阪生まれ
2007 日本版画の粋 現代版画展 福光美術館・富山
2009 浜口陽三生誕100年記念銅版画大賞展 入賞
2011 「まなざしの哲学-嵯峨芸術大学の40年」 京都市美術館別館
第8回 高知国際版画トリエンナーレ いの町紙の博物館・高知
第1回宮本三郎記念デッサン大賞展 小松市立宮本三郎美術館・石川県
「吉原英雄を囲む作家展」 和歌山県立近代美術館
2013 コレクション展 2013-春 「部屋の中で」 和歌山県立近代美術館
新収蔵品紹介 「信濃橋画廊コレクション」を中心に 兵庫県立美術館
2014 第9回 高知国際版画トリエンナーレ いの町紙の博物館・高知
2015 Re-collections!!文化庁買上優秀美術作品展 寺田倉庫ギャラリー・東京
2016 「版画の誘惑展」 砺波市美術館
大田市国際美術交換展 Daejeon Jung-gu Cultual Center halls・韓国
The 13th GONGJU INTERNATIONAL ART FESTIVAL LimLip art
museum・韓国
2017 個展 「Eri’s 80’s」 ギャラリーモーニング
DAEJEON INTERNATIONAL ART SHOW 2017
KOTRA Exhibition Center in Daejeon・韓国
パブリックコレクション
町田市立国際版画美術館・嵯峨芸術大学・神戸アートビレッジセンター・ウィル愛知(愛知県女性センター)・文化庁・京都市立芸術大学・宮崎県立美術館・和歌山県立近代美術館・兵庫県立美術館 ・砺波市美術館