“ヘテロゲニウス・マルチコア” 〔Heterogenius Multi-core〕

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開催情報

【作家】
布施琳太郎、布施琳太郎
山崎裕貴、山崎裕貴
【期間】2021/1/27 (wed.) – 2/21 (sun.)
【開廊時間】13:00-19:00
【料金】無料
【定休日】月曜、 2/9, 2/16

会場

会場名: galleryMain
webサイト:https://gallerymain.com/
アクセス: 600-8059 京都市下京区麩屋町通五条上ル下鱗形町543-2F
電話番号: 075-344-1893

概要

布施琳太郎/布施琳太郎′/山崎裕貴/山崎裕貴′による現代美術の展覧会。新進気鋭の若手作家2(4)人が、孤独な芸術家やアーティスト・コレクティブではない、誰のものにもすることのできない連帯としての「わたしたち」を形づくる。現代の全く新しい工学的設計思想と、古代ローマより信仰される神が接触する本展は、同時期に京都市京セラ美術館で開催される「平成美術:うたかたと瓦礫デブリ 1989–2019」への応答でもある。会期中にはトークイベントや芸術スクール「Plot」の講義を開催。

 この展覧会は「ヘテロゲニウス・マルチコア」(Heterogenius Multi-core)という造語をタイトルに掲げる。それは現代のシステム工学における用語「ヘテロジニアス・マルチコア」(Heterogeneous Multi-core)と、古代ローマにおいて信仰された神「ゲニウス」(genius)の名前に根ざしている。ヘテロジニアスとゲニウスは同一の語根「gen」(生む/種族)から派生した言葉である。

 まずヘテロジニアス・マルチコアとは、コンピュータの脳である集積回路が、「それぞれ異なるアーキテクチャ」(=Heterogeneous)に基づいた「複数のコア」(=Multi-core)によって構成されていることを意味する。それは昨年末に発売されたアップル社製のコンピュータに搭載されたM1チップや、近年のゲーム機、スマートフォンなどに採用されてきた。反対に、同一のアーキテクチャによって構成された集積回路はホモジニアス・マルチコアと呼ばれるが、2000年代中盤には期待された成長を叶えられなくなった。ヘテロジニアス・マルチコアが実現するのは、特定の用途に最適化された複数のコアの組み合わせによるコンピュータの高性能化や、消費電力の最適化などである。

 一方、古代ローマにおけるゲニウスが意味するのは「個人のなかにある非個人的なものすべて」を司る神だ。それはわたしたちそれぞれ一人ひとりと共生する神として信仰された。もしゲニウスがいなければ、わたしたちは恋に落ちることも、微睡からふと我に帰ることもない。言葉にならない衝動や根拠のない自信のように「わたし」を越えてひとり歩きしていく「非人称なわたし」こそがゲニウスとして信仰されてきた。
 人間の生命原理は「ゲニウスとわたし」という異なるアーキテクチャに引き裂かれたヘテロジニアス・マルチコアである。

 本展は、それぞれの「わたし」に固有の神であるゲニウスを、工学的なアーキテクチャと接触させる。それはゲニウスが、他者のゲニウスとのヘテロジニアスな関係においてしか成立しないという前提を露わにするだろう。ひとはホモジニアスな主体でも、ヘテロジニアスな集団でもいられない。ここで意図されているのは、孤独な芸術家やアーティスト・コレクティブではない、誰のものにもすることのできないヘテロゲニウスな連帯としての「わたしたち」を形づくることだ。

 喜び(genialis)のなかで、ひとり、共にあるために。

表紙 / wikipedia アントニヌス・ピウスのゲニウス / File:Antonius Pius Column Base.JPG / CC 表示-継承 3.0

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/8/84/Antonius_Pius_Column_Base.JPG

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