渡邉野子 「線が光を灯す」

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開催情報

【作家】渡邉野子

【日時】2015年9月12日(土)~ 2015年10月10日(土)
【料金】無料

http://www.g77gallery.com/#!exhibitions/cee5

会場

 
会場名:Gallery G-77
webサイト:http://www.g77gallery.com/
アクセス:〒604-0086  京都市中京区中之町(小川通り)73-3
電話番号:090-9419-2326
開館時間:火曜日 – 金曜日12:00~19:00 / 土曜日 – 日曜日 12:00~20:00
休館日等:月曜日
  

概要

この度、9月12日からGallery G-77では 渡邉野子個展『 「線が光を灯す」Night Watch-A Line that Hits the light 』を開催します。京都では未発表の「ART TODAY 2006」(セゾン現代美術館/軽井沢) の出展作を含み、作家のここ約10年に渡る制作活動のコンセプトを体感できる展覧会です。
 渡邉は、2003年に文化庁新進芸術家海外留学制度在外研修員としてドイツで研修を行いました。在籍したクンストアカデミーデュッセルドルフではイェルク・インメンドルフとゲルハルト・メルツの両作家のもとで学び、多様化する現代の美術表現のなかにあり果敢に絵画の本質と可能性を追求し続けています。東洋と西洋のはざまにあって不安定にそして肯定的に佇む渡邉の線は、世界において異質なものや多様な理念が混在し衝突する社会に育ち、混沌とした今と将来を生きる世代の作家としての存在理由を象徴しています。
 近作のコンセプトは「対比における共存」と、絵画と絵画の前に立つ人〈観察者〉との「触れる、触れられる」関係を、「線」の表す領域の広さと、油彩の光沢やみずみずしさ、筆あとや絵の具の厚みがイメージさせる身体的所作の艶かしさによって構築することです。
 「対比における共存」とは、相容れないものや拮抗するものが一瞬間を共有するときに現れる関係性を示しています。「支えるものと支えられるもの」、「骨と皮膚」、「かたさとやわらかさ」、「建築と肉体」など、対比によって浮かび上がるその存在意義や美しさを表現しています。そのイメージは、渡邉にとって非常に具体的なイメージとして現れる抽象的概念です。
 本展のタイトル『Night Watch』 は、レンブラントの「夜警」に着想を得たものです。「夜警」においては「なぜここに?」と思わせる光があたっており、観察者は絵全体が醸し出す異様な雰囲気に息を呑みます。観察者は、自分たちが見ようとするものが見るべきかたちで描かれていないことにたじろぎ、そこで新たな自分を発見します。渡邉の絵画においては、図像が描かれているのか、また、意味を結ぶのか結ばないのか、そのはざまの微妙な状態に描かれています。一目見ただけでは線と面による構成的作品のようですが、実際は具象「的」図像の気配を感じたり、観る人によっては確かなものを認識する場合もあります。これはひとつの「しかけ」であり、装置のようなものであると言えます。私たちが「見えている」と確信しているものが、実はまったく別のものであるかもしれないという、見せるものと見えているもののギャップや見ることと認識の問いかけというテーマから、本展のタイトルがつけられました。
 渡邉の作品では、一枚の絵のなかに静的エネルギーと動的エネルギーが拮抗しており、それが静謐さとダイナミズムの両方を、またそれらの予兆を感じさせます。渡邉が言う「neutral」な状態です。新作「Night Watch」と「身体の遠近法−秋 2015」では、これまでのどちらかというと静謐さをたたえていた線の持つエネルギーがダイナミックさのベクトルに向かっており、より力強さと迫力を感じさせています。渡邉の新展開をこれまでの作品の歴史と併せてお楽しみいただければ幸いです。

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