文化芸術による共生社会実現のためのアーツマネジメント講座2021「共生とはなにか」開催のお知らせ

デザイン:金田金太郎

この度HAPSでは、2021年度「文化芸術による共生社会実現に向けた基盤づくり事業」の一環として、文化芸術による共生社会実現のためのアーツマネジメント講座2021「共生とはなにか」をオンラインで開催いたします。

講座概要

近年、「共生」ということばが、多文化共生、地域共生など様々な場面で聞かれるようになりました。また共生に関わる課題として、在住外国人、障害、病、ジェンダー、格差、セクシュアリティ、災害、高齢化による孤立・孤独など様々なトピックがあり、それぞれの生きづらさや困難があることも明らかになってきました。
今年度HAPSが実施する連続講座では、「共生とはなにか」を改めて考えることを通じて、アートやアーティストと社会との関係を支える「アーツマネジメント」の理解を深めることを目指します。
文学、映像、美術、研究など異なる分野で活躍するゲストを迎え、ことば、表現、プロセス、実践の広がりなどから、「共生」についての対話を進めます。私たちは「共生」をどう捉え、アートと社会との結びつきをつくることができるのか。受講者の思考を深め、新たな実践の参考となる様々な問いを考えていきます。

主催:一般社団法人HAPS
共催:京都精華大学|マイノリティの権利、特にSOGIをはじめとした〈性の多様性〉に関する知識と、それらを踏まえた表現倫理のリテラシーを備えたアートマネジメント人材育成プログラム「#わたしが好きになる人は/ #The_people_I_love_are」

※本講座は、HAPSによる開講(3回)及び京都精華大学との共同開講(2回)の全5回シリーズで開催します。HAPS開講のセミナー2は10月末、セミナー3は11月末開講予定です。主催講座についての情報は順次公開していきます。共同開講講座の詳細については京都精華大学の特設ウェブサイトをご覧ください。

 

※すべて参加費無料、要申込み。

セミナー1〈ひとり〉と出会うこと ※終了しました。

日時:2021年8月27日(金)19:00〜20:30

ゲスト:大川史織(ドキュメンタリー映画監督、文筆家)
聞き手:小泉朝未(HAPS, Social Work / Art Conference)

 多様な背景を持った人びとの語りを聞きそれを誰かに伝える前に、それぞれの個〈ひとり〉とどのように出会うことができるのでしょうか。マーシャル諸島、日本で暮らす人びとと記憶をめぐるドキュメンタリー映画『タリナイ』『keememej』の監督であり、『なぜ戦争をえがくのか――戦争を知らない表現者たちの歴史実践』で表現者らへのインタビューを編んだ大川史織さんにお話を伺います。

セミナー1 申込み(Peatix)はこちらから
 

キックオフシンポジウム「#わたしが好きになる人は/#The people I love are 」※終了しました。

日時:2021年9月11日(土)13:30〜16:00

講師:ティーター・ジェニファ・ルイーズ/太田尚樹/谷口洋幸/本田耕志/緒方江美/アフリーダ・オー・ブラート

 近年、アートプロジェクトをはじめとする芸術的な諸実践において、年齢、人種、性別、身体的特徴、性表現をはじめ、性自認、性的指向、表現の自由など表面からは認識されにくい課題を、アートプロジェクトを通して検討し、解決への道筋を探ろうとする動きが盛んですが、セクシュアルマイノリティや女性、貧困層などの社会包摂とアートプロジェクトとの関わりや、その実践についての研究や実践は国内にほとんど存在していません。
 この課題をふまえ、このシンポジウムでは、正しい知識の共有と、国内の最新情報の事例紹介を目的とした基礎講座をオンラインで行います。
 大学機関でダイバーシティの実現を推進する教員、セクシュアルマイノリティの経験や主題を挑戦的な態度で表現するクリエイター、LGBT/性的指向・性自認をめぐる人権を専門とする研究者、多様な性の在り方が尊重される社会を目指す行政の担当者をゲストに迎え、SOGI―性の概念の多様性を尊重し、ひとりひとりが異なる存在であることを認め合う価値観―を醸成する社会形成の可能性を探ります。

詳細・申込みはこちらから
※本講座は京都精華大学との共同開講です。お申し込みは上記フォームからのみ受け付けております。
 

クィア・オブ・カラー批評―アメリカにおける非白人の知と経験※終了しました。

日時:2021年10月10日(日)13:30〜15:00

講師:菅野優香(同志社大学 グローバル・スタディーズ研究科 准教授)

 「クィア・オブ・カラー批評」は直訳すれば、有色(人種)のクィア批評であり、クィア理論において、人種とセクシュアリティが分離されて論じられる傾向を内部から批判するために生まれた言説である。ロドリック・A・ファーガソンによる『黒い逸脱:クィア・オブ・カラー批評へ向けて』(2003)がその嚆矢とされるものの、ファーガソンの議論は、1990年代の黒人の理論家やアクティビスト、とりわけ黒人レズビアンたちが行ってきた仕事を土台とし、それを発展させたものだといえる。
 今回の講座では、「クィア・オブ・カラー批評」を先導し、触発した、黒人レズビアン理論家やアクティビストたちの仕事を紹介しながら、クィア・オブ・カラー批評が何を問題化したのかについて考えてみたいと思う。また、2000年以降、ファーガソンと共鳴するようなかたちで生まれてきた「クィア・ディアスポラ」(ガヤトリ・ゴピナス)や「ディスアイデンティフィケーション(非同一化)」(ホセ・E・ムニョス)といった非白人のクィア理論家の仕事と「クィア・オブ・カラー批評」の接続を試みる。

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※本講座は京都精華大学「#わたしが好きになる人は/#The people I love are 」ネットワーク構築ゼミ-1 現代メキシコの女性アーティストたちの活動から との共同開講です。お申し込みは上記フォームからのみ受け付けております。
(主催:京都精華大学、令和3年度 文化庁 大学における文化芸術推進事業「マイノリティの権利、特にSOGIをはじめとした〈性の多様性〉に関する知識と、それらを踏まえた表現倫理のリテラシーを備えたアートマネジメント人材育成プログラム」)
 

セミナー2 分けない眼差しとつくること※終了しました。

日時:2021年10月30日(土)19:00〜20:30

ゲスト:青木陵子+伊藤存(アーティスト)
聞き手:藏原藍子(HAPS)

 日々、他者や場と出会い、わからなさやその面白さにふれながらつくるプロセスを通して、何が見えてくるでしょうか。2017年と2019年、リボーン・アートフェスティバルで自然環境や生活空間、様々な人々とのかかわりを含む作品制作やプロジェクトを展開し、そこでの制作から最近では金沢21世紀美術館「日常のあわい」展でインスタレーション作品を発表されたアーティストの青木陵子さん、伊藤存さんにご活動についてお話を伺います。

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セミナー3 〈ことば〉との距離、〈ことば〉への期待

日時:2021年11月27日(土)16:00〜17:30

ゲスト:いしいしんじ(小説家・文筆家)/モハーチ・ゲルゲイ(文化人類学者)
聞き手:奥山理子(HAPS, Social Work / Art Conferenceディレクター)

 ことばを作り出すことで、人々や歴史の新たな一面を知ることが可能なように、「共生」はどのような意味を持ち、どのような現状や未来を示すことばとなりうるのでしょうか。共生ということばの表現について、小説やエッセイのほか、現代語訳『げんじものがたり』などを手がけるいしいしんじさんと、共生学の観点から人間と植物などの共生について研究を重ねてきたモハーチ・ゲルゲイさんとともに考えます。

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ゲストプロフィール

●大川史織(おおかわ しおり)
1988年神奈川県生まれ。マーシャル諸島で戦死(餓死)した父を持つ息子の慰霊の旅に同行したドキュメンタリー映画『タリナイ』(2018年)で初監督。編著書に『マーシャル、父の戦場――ある日本兵の日記をめぐる歴史実践』(みずき書林、2018年)。両作品で山本美香記念国際ジャーナリスト賞・奨励賞受賞。近刊の編著書に『なぜ戦争をえがくのかーー戦争を知らない表現者たちの歴史実践』(みずき書林、2021年)がある。
 

●ティーター・ジェニファ・ルイーズ
米国シカゴ郊外出身。専門は応用言語学、言語復興、マイノリティ・スタディーズ/applied linguistics, language。2002年に来日し、富山県の高校で英語教育や国際交流団体を行う。旅や仕事で50カ国以上を訪れ、マイノリティ主導の教育への取り組みを学ぶ。現在も人種・民族やジェンダー、アイデンティティの問題、またそれらの問題への理解を深める教育方法を探求している。2020年度に京都精華大学ダイバーシティ推進センター長に就任。共通教育機構専任講師。
 

●太田尚樹(おおた なおき)
神戸大学卒後、リクルートに入社。2年で退社しLGBTクリエイティブチーム「やる気あり美」を発足。同名メディア編集長に就任。文芸誌での連載や脚本制作など、幅広い執筆活動に従事するかたわら、企業や自治体にてLGBT研修も行う。雑誌ソトコトにて「ゲイの僕にも、星はキレイで、肉はウマイ。」を連載中。
 

●谷口洋幸(たにぐち ひろゆき)
青山学院大学法学部教授。専門は国際人権法・ジェンダー法学。日本学術振興会特別研究員PD(学習院大学)、早稲田大学助手、高岡法科大学准教授を経て現職。日本学術会議連携会員。主著に『LGBTをめぐる法と社会』(編著、日本加除出版・2019)、『性的マイノリティ判例解説』(共編著、信山社・2011)など。世界人権問題研究センター研究員。
 

●本田耕志(ほんだ こうじ)
京都市文化市民局共生社会推進室担当係長。京都が、LGBTQの人もそうでない人も、お互いの多様性を認めあいながら、みんなが『カラフル』に輝いて過ごせるまちになるよう、交流会やLGBTQに関する情報発信などの活動もしている。活動団体名は「カラフル」。
 

●緒方江美(おがた えみ)/アフリーダ・オー・ブラート
「#わたしが好きになる人は/ #The_people_I_love_are」プログラムディレクター。2004年ドラァグクイーンデビュー。京都メトロ「DIAMONDS ARE FOREVER」出演中。劇場、文化財団事務局勤務を経て2017年よりフリーランスアートマネージャー。2020年より(一社)地域共生社会創造ラボ 代表理事。作品発表を通じてマイノリティへの理解促進を目指す展覧会「LGBTQ ART LABORATORY」コーディネート、舞台公演「SYNTHESE -DRAG meets CONTEMPORARY-」共同制作等。京都芸術大学アートプロデュース学科、大阪芸術大学芸術計画学科非常勤講師。
 

●菅野優香(かんの ゆうか)
同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科准教授。専門分野は、視覚文化研究、クィア・スタディーズ。映像におけるジェンダーやセクシュアリティ、人種の問題に関心を寄せる。近著に「政治的なことは映画的なこと― 1970年代フェミニスト映画運動」『思想』(2020年3月号)、「コミュニティを再考する―クィア・LGBT映画祭と情動の社会空間」『クィア・スタディーズをひらく』(晃洋書房、2020年)など。11月に編著『クィア・シネマ・スタディーズ』(晃洋書房)を刊行予定。
 

●青木陵子+伊藤存(あおき りょうこ+いとう ぞん)
青木、伊藤ともに個々に作品制作を行いながら2000年よりアニメーションを中心とした共同制作を始め、近年では人の情緒の成長をテーマに数学者の岡潔のエッセイを主軸とした映像インスタレーション「9歳までの境地」を継続的に国内外で発表している。主な個展に、「青木陵子+伊藤存 変化する自由分子のWORKSHOP展」(ワタリウム美術館、東京、2020年)など。
 

●いしいしんじ
1966年大阪生まれ。1996年、短篇集『とーきょーいしいあるき』刊行(のち『東京夜話』に改題して文庫化)。2012年『ある一日』で織田作之助賞、16年『悪声』で第四回河合隼雄物語賞を受賞。『ぶらんこ乗り』『麦ふみクーツェ』『ポーの話』『海と山のピアノ』 、『みずうみ』など著作多数。 09年から京都市在住。21年『いしいしんじ訳 げんじものがたり』(講談社)を刊行、『こわいな!恐怖の美術館』(熊本市現代美術館)へ出展。
 

●モハーチ・ゲルゲイ
大阪大学人間科学研究科・准教授。専門は共生学、医療人類学、科学技術社会論。近年、ベトナムと日本における生薬の栽培および研究開発の現場でのフィールドワークを中心に、病人と健常者の共生を促進する創薬の比較研究を進めている。「プラネタリーヘルス」(planetary health)という近年注目を集める観念を中心に、環境の持続性と人間の健康の両立に焦点を当てる環境衛生の草の根展開を検証している。

参加方法

本講座はYouTubeライブ配信でお届けします。
HAPS主催の講座は、各講座の申込みフォーム、Eメール、電話いずれかの方法によりお申込みください。共同開講講座は、京都精華大学の特設ウェブサイトのフォームからお申し込みください。

お申込みの際は、①受講希望の講座名/②氏名(ふりがな)/③電話番号/④メールアドレス/⑤年齢/⑥ご職業/⑦受講動機/⑧今後本事業関連の情報を希望するか をお伝えください。お申し込みいただいた方に当日配信されるYouTubeのURLをお知らせします。

Eメール:swac@haps-kyoto.com
TEL:075-748-8575
 

2021年度文化芸術による共生社会実現に向けた基盤づくり事業について

HAPS は、京都市より 2017 年度「文化芸術で人が輝く社会づくりモデル事業」、2018 年度は「文化芸術による共生社会実現のための基盤づくり事業」を受託し、実施いたしました。これは、文化芸術の力を活用して、多様な背景を持つ人々が、共に生きることのできる社会のあり方を探り、その仕組みづくりを目指すものです。2019年度からはそれらの成果を引き継ぎ「文化芸術による共生社会実現に向けた基盤づくり事業」として展開し、全体としては今年度で5年目となります。連続講座は本事業の一環で実施しています。

これまでのHAPSの取り組み:
ノガミッツ プロジェクト
展覧会 山本麻紀子「いつかの話 あの人の風」
「東九条こどもご近所映画祭」
SW/AC「京都市内の福祉施設等の文化芸術活動の状況についてのアンケート調査報告
「タイルとホコラとツーリズム」Season8 七条河原じゃり風流

 

Social Work / Art Conference(SW/AC)について


 
アートとともにわたしたちの豊かさを交換する

少子高齢化の進展、貧困世帯の増大、ジェンダー格差、障害を持つ人々の社会参加など現代社会は様々な課題や困難を抱えています。社会を覆う閉塞感を感じ取ったアーティストや彼ら/彼女らを支える実務家たちは現場に向かい、美術や演劇、音楽などの表現を通して関わった人や場の可能性を引き出してきました。それは同時に、社会とアートの関係性を見直すことにつながり、アート領域の拡張を予感させます。
これまでHAPSは、京都市の計画に基づき、「文化芸術による共生社会実現に向けた基盤づくり事業」を通して、アートをきっかけに様々な立場の人が関わり合う共生社会を実現するための取り組みを実施してきました。しかし、こうしたアー卜の取り組みの認知度は低く、また知っていたとしても十分な経験の共有や分析を得ずに終わってしまうことも少なくありません。
そうした状況を踏まえ、HAPSでは従来の相談事業を拡張させた、「Social Work / Art Conference」を新たに始めます。私たちは、人間の尊厳や価値を擁護する「Social Work」 の理念と、社会に対し刺激的に問いを投げかける「Art」とを結びつけることで、多様な意見を交換し合える「Conference」の場を作っていきます。相談に来られた方々がアー卜や表現の意味を深く感じ、社会へとよりひらかれた活動を行なっていくためのサポートを提供します。
そして人々、もの、場、組織、さらには思考に至るまで、広くその関わりを促すことで、それらの相互作用の質が高まり、より豊かな社会活動の実践と日常の営みが実現される未来を目指します。

http://haps-kyoto.com/swac

お問合せ

一般社団法人HAPS
Eメール:swac[@]haps-kyoto.com / TEL:075-748-8575 / FAX:075-525-7522




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