GA TALK 013 手塚美和子(キュレーター)「アートをタイムレスにする方法:荒川修作とマドリン・ギンズにみるレガシー、財団、保存について」開催のお知らせ

Arakawa, Texture of Time, 1977. Acrylic, pencil, and art marker on canvas. 167.64 x 254 cm (66 x 100 inches). Collection of Dayna and Steve Novenstein, New York. Photo: Robert McKeever. Courtesy Gagosian.

GLOBAL ART TALK 013 手塚美和子(キュレーター)「アートをタイムレスにする方法:荒川修作とマドリン・ギンズにみるレガシー、財団、保存について」

今回のグローバル・アート・トークでは、ニューヨークを拠点にキュレーターとして活躍されている手塚美和子さんをお招きします。

「現代アートの領域はこの十数年で大きな成長と変貌を遂げてきました。それは、人間社会の様々な側面に影響を及ぼすグローバリゼーションと並行しながら進行してきた現象といえます。その永続的な拡張と変化の真っ只中にあって、『アートはタイムレスか?』という根源的な問いが残されています。私たちのヒューマニスティックな考え方に依拠すると、傑作とは、当然のごとく時間に打ち勝ち、その独自の在り方を永遠に維持し続けるものであるという見解あるいは理想主義に固執しがちです。ところが現実では、レガシーの構築、アーカイブ機能、研究そして資産運用等を目的および使命とする、多くの芸術家の財団がうまれています。その傾向は特に米国で顕著なものであるといえるでしょう。それゆえ、そのような財団の活動は、特に今日において、アートをタイムレスなものとするための重要な構成要素なのです。今回のレクチャーでは、特に2010年に荒川修作(1936年―2010年)とマドリン・ギンズ(1941年―2014年)によって、ニューヨークに設立された天命反転財団について参照しながら、私がキュレーターとして学び、経験してきたことを共有したいと思います。」
(手塚美和子)

概要

日時:2018年11月19日(月) 19:00-20:30
会場:ロームシアター京都ノースホール ※会場が通常と異なりますのでご注意ください。
https://rohmtheatrekyoto.jp/access/
料金:無料(要申込み) 
定員:100名
※英日逐次通訳なし

主催:京都造形芸術大学大学院、東山 アーティスツ・プレイスメント・サービス(HAPS)

チラシのダウンロード

講師プロフィール

手塚美和子(キュレーター)
2015年から天命反転財団の顧問キュレーターを勤める。ニューヨークのジャパン・ソサエティ・ギャラリー館長(2012年-2015年)、同じくニューヨークのアジア・ソサエティ美術館にて現代美術専門キュレーター(2005年-2012年)を歴任。「Maya Lin: A River is a Drawing」(2018年)、「LOVE Long: Robert Indiana and Asia」(2018年)、「Garden of Unearthly Delights: Works by Ikeda, Tenmyouya & teamLab」(2014年)、「Rebirth: Recent Work by Mariko Mori」(2013年)、「Yoshitomo Nara: Nobody’s Fool」(2010年)、「Yang Fudong: Seven Intellectuals in a Bamboo Forest」(2009年)など数々の展覧会を手がける。1945年以降の日本美術に関する研究者とキュレーターの国際オンライン・ネットワーク、ポンジャ現懇の共同主宰。

申込み・お問合せ

申込み・問い合わせ先:(GLOBAL_ARTTALK@office.kyoto-art.ac.jp
*お申込みの際には、①氏名、②人数、③連絡先電話番号あるいはメールアドレス、④ご職業(学生の場合は大学名)を上記アドレスまでお送りください。京都造形芸術大学の学生の方は学籍番号も添えてください。

GLOBAL ART TALK By KUAD x HAPS 

<現代アートで京都と世界をつなぐ>

現代アートを取り巻く環境は、この数十年で飛躍的に複雑化し、そのなかでアーティストとしてグローバルに活躍する道を模索することは容易ではありません。世界各地で同時多発的に生産される芸術の概況を把握することは、もはや不可能といって良いでしょう。とりわけ、経済成長と近代化の進む近隣アジア諸国では、新しい美術館の創設やアートフェア、国際展の隆盛など発表の機会も拡大し、世界からこの地域に向けられた注目も高まっていますが、すでにアートを取り巻くインスティテューションとしては整備を終えた感もある日本では、むしろ制度化の再考、アーティストの社会的役割、グローバルなネットワーク構築などが改めて問われているといえるでしょう。
 京都では、多くの芸術系大学から毎年新しいアーティストが輩出されていますが、日本の伝統文化の中心地でもある街から、このように複雑化した現代アートの世界と、今日、どのようなつながりを見出すことができるのでしょうか?京都造形芸術大学とHAPS共催による「グローバル・アート・トーク」では、世界各地で活躍するアーティスト、キュレーター、コレクター、研究者、ギャラリストなどを招聘し、対話を積み重ねていくことで、世界を実感し、理解を深めていきたいと考えています。

*GLOBAL ART TALKは、若手芸術家を応援する東山アーティスツ・プレイスメント・サービス(HAPS)の「キュレーター招聘プログラム」の一環です。
*京都造形芸術大学では、京都を拠点に現代アート界でグローバルな活躍をめざすアーティストの育成機関を将来に見据えています。

参考作品

Arakawa and Madeline Gins, Site of Reversible Destiny—Yoro Park, Gifu Prefecture, Japan, 1993–95. Park/architecture. 18,100 m² (195,000 sq. ft). ©1997Estate of Madeline Gins. Reproduced with permission of the Estate of Madeline Gins.

Installation view of exhibition Arakawa and Madeline Gins: Eternal Gradient at Arthur Ross Architecture Gallery, Graduate School of Architecture, Planning and Preservation, Columbia University, New York (March 30–June 16, 2018). Photo by James Ewing / Courtesy Columbia GSAPP.

Portrait of Arakawa and Madeline Gins, 2007. Image courtesy of Dimitiris Yeros.




助成: